衝動コントロール

〜ピアノレッスンと人間的成長〜

人間の脳は三層構造になっています。一番内側にある爬虫類脳は生存本能に関わる機能を司っています。意識しなくても呼吸や心臓が働いてくれるのはこの脳のおかげです。また恐怖を感じた時に、逃げる/闘うなどの防衛反応が自動的に作動するのもこの脳と自律神経の連携によっています。

本能の部分は生存を助けてくれますが、時にはやっかいでもあります。怒りを感じるたびに人を殴っていたら社会生活はままなりません。

そこで衝動を上手に抑制する必要が出てきます。これは大脳新皮質と呼ばれる一番外側の層の働きです。いわゆる理性的な働きを司ります。

音楽の演奏には、衝動をコントロールすることが求められます。楽譜に書かれた音楽に沿って、自分でテンポを速くしたり遅くしたり、音量を大きくしたり小さくしたりするのは、衝動コントロール能力を練習していることでもあるのです。

安定した対象関係

ピアノレッスンと人間的成長

赤ちゃんはお母さんと愛着関係を結び、それを安全基地として、自分や世界を信頼することを学びます。

同じように、レッスンを通じて先生から評価してもらう体験が積み重なると、生徒の心の中で先生が特別な存在になっていきます。

心の中に取り入れられ、自分を支えてくれる存在を、心理学では〈内的対象〉と呼びます。重要な誰かとの関係を通じて安定した対象関係を内的に形成することは 、心を健康に保つ上で、お子さんのみならず、大人にとっても大切なことです。それがあってはじめて自分と他者、そして音楽への信頼感を育ててゆけます。

音楽レッスンは、安定した対象関係を育む場にもなります。