スペインの作曲家Blasco Nebla(ブラスコ・ネブラ) の曲を見つけたのは、大学生の頃に聴いたピュイグロジェ女史のCDの中でだった。宝石のような小曲が心込めて弾かれている。
歳を取ったらこんなふうに弾けるようになれたらどんなにいいだろう、という私の晩年の理想像の一人。
私が学生だった頃、まだ桐朋でも教えてらした。公開レッスンや、仙川の商店街でお見かけすることもあった。
私は残念ながら直接の関わりは持つことはなかった。だから先生とお呼びするのはおこがましい。でも自分の中である人を尊敬し何かを学ばせてもらっていると感じれば、例え会ったことすらない人でも私にとっては〈先生〉なので、勝手にそう呼ばせてもらっても怒られはしないだろう。
一度だけ公開レッスンを見学したことがある。ピアノの鳴り方が全く違うと思った。比較的音量は小さ目だが、倍音のバランスが整っていると言うか、とにかくひとつのコードを鳴らしただけでもずっと聴いていたいような音だった。よく響くが、全く押し付けがましいところはない。
先生がおっしゃったことで唯一覚えているのが、16分音符などの速いパッセージの練習法。そういうのが弾きにくい時は、時に音の並びを逆行して弾いて見ることよ、と言ってメロディーの最後の音から遡って弾いて見せてくれた。今でも私はこの練習法をよくやっている。
この本も素晴らしい。今の教育現場にもそのまま当てはまる言葉に満ちている。
ロジェ先生のピアノの音は、派手さはないが音色が豊かであり、穏やかだが生きたリズムの躍動を感じる。
ピアニスト、作曲家、指導者、その全てで秀でていながらも、常に抑制が効いて嫌味がないのは、音楽家である前に人としてのあり方や生き方を大切にされていたからではないか。それが音に滲み出ている気がする。
また本を読み返してみたいと思った。
ピュイグ=ロジェピアノ教本もバロックや古典の小品が集められていて、大切な音楽的な技術を勉強するのに良い。






