アルベニス晩年の作品。超難曲と言われ、それほど演奏されている感じはしない。
が、あまりに素晴らしくて、いつか全部弾いてみたい。
人生の全てがここに詰まっているような、まったく隙がない感じ。
3曲をひとまとまりとして4集あるうちの、私は特に3集、4集に収められている曲全部にノックアウトされてしまう。
ドビュッシーやメシアンが絶賛しただけあって、全編通して創造性が炸裂。止め処もなく溢れる豊かなハーモニー、イメージ、ダンス、光。何度でもずっと聴いていたい。
超難曲と言われている理由 その1:調号が多くて譜読みが大変。
冒頭から♭が7つついてます。(写真)こんなの普通は見ないですよね。一般的には♭が6つ付いてGes durに達すると、そこでFis dur(♯6つ)と異名同音的に読み替えて、そのまま♯圏域に入って行きます。
アルベニスは♯圏域に入ってもまだ♭系で記譜しています。写真の部分はよく見ると鍵盤上ではEdurですが、♭で書いてます。だからホ長調ではなく、重変ヘ長調ということになるんですかね? 聞いたことありません。
このことにどのような意味があるのか。鍵盤上では異名同音でも、音律上は違う音で書いてあるなら、アルベニスの中では何かイメージがあったのか。
楽譜によってはこういう箇所を♯系の調号に書き換えて読みやすくしているものもあるようですが。
でも臨時記号が多すぎると、流し弾きができないので、譜読みに時間がかかるのは確かです。
超難曲と言われている理由 その2:左右の手が重なったり交差する部分が多い。
多くの場所では、左右の手に割り振られている音を反対の手で取ることで弾きやすくなるようです。左右の手にどう音を割り振るかは楽譜の校訂者によって異なり、版によって違います。
しかし弾きやすさと、音楽的思考は相容れない場合があります。例えば非和声音が加味された密集和音を両手で弾く場合、和声音を右手で、非和声音を左手で加えるように書かれている場合 、どうしても両手が重なったりします。それを重ならないように、左右の手に音を再配分すると、どの音が和声音でどの音が非和声音なのか、身体で把握しづらくなります。この弊害も考慮した上で検討する必要ありです。
超難曲と言われている理由 その3:初版楽譜に間違いが多すぎる。自分のベストな演奏を目指そうと思えば複数の版を参照する必要がある。
初版は誤植が多いらしい。春秋社版はかなり優秀で、音の訂正、左右の手の振り分けが工夫されているようだ。EMEC-EDEMS(Schott)社 Guillermo Gonzalez版は、自筆譜、原典版、校訂譜がセットになっているらしく、現在手に入るアルベニス研究の最新の成果が反映されている、が当然高価。全音の楽譜はGonzalez版を元にしているので、まあジェネリック薬品のようなものか。と、調べてみるとなんと横浜図書館にあった!
他にもいくつかチェックすべき版があるのだが、音大の図書館で調べてもなかったりする、入れてもらうようにお願いしようかしら。
という訳で、練習をし始める前に楽譜の準備調査をしないと時間が無駄になるという曲。
ゆっくりでいいから、勉強していこう。というか、これはゆっくりやるしかない。それこそ一生お付き合いするパートナーと出逢ったような気持ちで。





