音楽の演奏でもっとも大切なことは推進力です。つまり音楽が〈前に進んでいる感じ〉が出せるかどうか。この効果が上手に出せるかどうかは、楽譜に書かれている複数の音をどのようにひとまとめとして捉えるかによって決まります。音をまとまりとして捉えることを〈グルーピング〉と言います。楽譜上の連桁(音符から出ている縦棒をつなぐ横棒のこと)によるまとまりは、演奏効果を出す上で必要なまとまりと必ずしも一致しないことの方が多く、通常は効果的なグルーピングについての指示は楽譜には書かれていません。したがって、演奏者が楽譜から読み取る必要があります。グルーピングの知識を使えば、誰でも旋律を流れるように弾けるようになります。
楽譜の音符の連結は、表拍と裏拍をつなげて書いていますが、実際の音楽での音のグルーピングは裏拍から表拍へとつながっていくのが基本的なグルーピングです。ただし、それはあくまでも基本なので、実際のグルーピングは他のさまざまな要因を細かく分析して最も理にかなった形を発見する必要があります。
このような知的な作業は、情感豊かな演奏と相いれないような印象を与えるかもしれませんが、事実はまったく逆です。表現したい想いが強ければ強い人ほど、知的に音楽の輪郭を捉えることが、その情感の表現を助けてくれます。
